「銀翼のイカロス(池井戸潤)」の感想 ドラマ半沢直樹の原作小説第4作
作品名 | 銀翼のイカロス |
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著者 | 池井戸潤 |
ジャンル | 経済 |
出版元 | ダイヤモンド社 |
評価 | 3点:★★★☆☆(おすすめ) |
対象年齢 | 中学生以上 |
おすすめの人 | 半沢直樹シリーズのファン。職場で取引先や上司に鬱屈した気持ちを抱いている人 |
ドラマ半沢直樹はほとんど未見なんですが、原作小説は全部読んでおります。連続ドラマは長いのですよ。小説なら2時間で済むものを12時間もかけて鑑賞するのはちょっとしんどい。(ファンの方ごめんなさい。あくまで私の趣味・嗜好です)
「倍返しだ!」のセリフでおなじみの半沢直樹ですが、本作では(たぶん)1回しかそのセリフは登場しません。いや、以前までの3作でもそのセリフが出てきた回数はそれぞれ1桁前半だったと思うんですが、妙に印象に残りますよね、あれ。番宣CM等で繰り返し使われたせいなのでしょうか。星一徹のちゃぶ台返しと似たようなものなのでしょう。あれもエンドロールでは繰り返し登場したそうですが、本編では2回しかやってないそうです。意外。
閑話休題。
本作「銀翼のイカロス」の舞台はJALです。稲盛和夫が乗り込むタイミングぐらいのJALです。現実では国ぐるみの支援のおかげで見事復活を果たしました。免税やら借金棒引きやらを重ねた挙句、安売りで競合他社を圧迫するのだから横暴というか、そんな強くてニューゲーム状態なら誰だって再建できるといった批判もあったようですね。
この作品もそんな批判に調子を合わせるようにできており、本作におけるJAL=帝国航空は債権放棄も国の優遇措置もなしで再建できるというのに、民主党新政権……じゃなかった、民政党で売り出し中の若手議員が手柄欲しさに無茶な借金棒引きやらなんやらを押し付けてくるという役回り。
「現場=正義」「偉い人=悪」というシリーズを通じてわかりやすいテーマを徹底しておられるなあと。池井戸先生は鬱屈したサラリーマンの気持ちをよくわかっていらっしゃる。
誰かがどこかで書いていたのと思うのですけれども、この半沢直樹シリーズって基本的にはサラリーマン版水戸黄門なんですよね。すかっと気持ちがよく、エンターテイメントとしては一級。これは安心して楽しめるというプラスの面もあるのですが、一方でひねりがなくて深みに乏しいという欠点でもありましょう。
まあ、面白いかつまらないかと言われれば間違いなく面白い寄りですので、出張中の飛行機内で読むと状況も相まってますます楽しめるんじゃないかなと思う次第です。
シリーズ1~3作目は以下でどうぞ。