Kindleで本読んどる

Kindleでの電子書籍購入数が200冊を突破したので、SF小説をメインに書評や感想を書き散らします。

「All You Need Is Kill(桜坂洋)」の感想 ハリウッド映画化を果たしたSFライトノベル

作品名 All You Need Is Kill
著者 桜坂 洋(さくらざか ひろし)
ジャンル SF
出版元 集英社スーパーダッシュ文庫
評価 4点:★★★★☆(かなりおすすめ)
対象年齢 中学生以上
おすすめの人 「宇宙の戦士」や「スターシップ・トゥルーパーズ」のようなSF肉弾戦争物が好きな方。「虐殺器官」が好きな方にも合いそう。

「集英社スーパーダッシュ文庫」と言われると30過ぎたおじさんとしてはたいへん手を伸ばしづらくなってしまうのですが、「ハリウッド映画化された」みたいな免罪符があると買いやすくなりますね。今回は、トム・クルーズが主演で全米が泣いた「オール・ユー・ニード・イズ・キル」の原作、「All You Need Is Kill」の紹介です。

物語の舞台は異形の地球外生命体「ギタイ」に侵略され、人類が必至に抗いながら徐々に追い詰められている近未来。大口径の弾丸をも跳ね返す強固な外皮を持つ彼ら(?)に対抗するために開発されたのは戦闘用杭打ち機。ギタイと戦う兵士は機動ジャケット(パワードスーツ)に身を包み、その杭打ち機に手にした近接戦を強いられています。

日本、本作中ではジャパンと呼称されておりますが、そこは機動ジャケットの重要部材を生産している人類の最後の命綱。ついにそこまでギタイどもに押し込まれ、ギリギリの戦場へ初年兵として送り込まれたのが主人公のキリヤ・ケイジです。トム・クルーズ演じる映画版だとウィリアム・ケイジ、だそうで。

そんな過酷な戦場で、実戦経験ゼロのキリヤはあっさり死亡。人生の最期を戦場の牝犬(ビッチ)と呼ばれる伝説の美人戦闘狂リタ・ヴラタスキに看取られたのが唯一の救いでありましょうか。人生も短ければ物語も短かった。合掌。

って、それで終わってしまってはこんな人気作品になるわけもなく。自他ともに認める死を迎えたキリヤ・ケイジは、2日前の時をさかのぼって復活します。なんだ夢オチかよと思ってまた出撃すると死ぬ。そしてまた2日前に生き返る。なんだこれはと思って逃げ出してみても死ぬ。生き返る。自殺しても2日前に生き返る。無限ループ怖いです。

死にまくっていい加減キレてしまったのか開き直ったのか、このループから抜け出るためにはあの絶望的な戦場を生き抜くしかないと悟ります。幸か不幸かこちらは残機無限のマリオ状態。繰り返し繰り返し死にながら経験を積み、最強の兵士として成長していきます。

その過程で同じく別のループにハマっていたリタ・ヴラタスキとも戦友となり、弾数に限りがある杭打ち機を捨て、巨大な戦斧を振り回して戦うスタイルに変更。斬っては死に、斬っては死にを繰り返し、ついに生き残った……と思ったら、なぜかわからないけれども2日前に戻されるという。何だこのクソゲーは。

どうしてこんな羽目になってしまったのか、それは物語を読んでからのお楽しみということでひとつ。

All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)

All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)

 

 ハリウッド映画版はこちら。

 漫画にもなっている模様です。

All You Need Is Kill 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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